所有者と連絡が取れない車は原則として勝手に廃車できず、まず車検証の所有者欄を見て、相手が販売店か個人か故人かで進め方を分けます。
この記事は、名義が自分ではない車が敷地や車庫に残っていて、持ち主に連絡がつかず、動かせずにいる方に向けて書いています。
「もう何年も置きっぱなしで、税金だけ来る」「知人に譲ってもらったが名義がそのまま」「連絡先が変わっていて、電話もつながらない」。廃車の手続きは、車の持ち主が誰かで決まります。ここでは、確かめる順番と、連絡が取れないときの相談先を並べます。
所有者と連絡が取れない車を、勝手に廃車できない理由
普通車は、車検証の所有者欄に他人の名前があるうちは、手続きの主役はその人です。軽自動車は、一時使用中止などの手続きを使用者が申請し、所有者が別の人なら事前の同意が要ります。普通車の登録は、所有権を第三者に主張するための仕組みで(道路運送車両法第5条)、当事者の間では譲り渡した時点で所有権が移ることもあります(民法第176条)。軽自動車に同じ登録の制度はなく、車検証は記録という位置づけです。
いずれにしても、名義が他人のままなら、通常の手続きでは、所有者の同意なしに抹消も名義変更も進みません。
ただし「同意が要る」ことと「所有者が作った書類を出す」ことは別です。同意をどう示すかは手続きの種類と車種で変わり、所有者の書類が一律に必要とは限りません。軽自動車では「申請依頼書」という書面を使いますが、誰の依頼書が要るかも手続きの種類で変わります。
相続や、裁判の判決にもとづく登録のように、ひとりで申請できる制度もあります(自動車登録令第11条)。争いがあるときは、弁護士に相談してください。
同意なく壊したり捨てたりすると、刑法第261条の器物損壊(条文)に当たるおそれがあり、民事でも損害の賠償を求められることがあります。長く放置されている、連絡が取れない、というだけでは、処分してよい理由になりません。
所有者と連絡が取れないときに、まず見るのは車検証
| 所有者欄の名前 | 実際の相手 | 最初にやること |
|---|---|---|
| 自分 | 本人 | 自分の書類で進められる。すでに他人へ譲っているなら、その相手との整理が先。軽自動車は、一時使用中止などの手続きを使用者が行い、所有者が別なら同意が要る |
| 販売店・信販会社(所有権留保) | 会社 | 会社の窓口に連絡し、所有権解除の書類を依頼する。担当者と連絡がつかなくても、会社の代表窓口は残っていることが多い(手順は ローンが残っている車の記事) |
| 家族・知人などの個人 | その人(または相続人) | 連絡を取る。取れない場合は下の順で進める |
| 亡くなった人 | 相続人 | 相続人を確定し、名義を確定させてから進める |
車検証上の所有者とは、車検証の所有者欄に記録されている人のこと。使用者とは、ふだんその車を使う人のことで、この2つは別です。たとえるなら、毎日住んでいる人(使用者)と、家の持ち主(所有者)の違いです。
- 普通車:毎日乗っていても、所有者欄が他人なら、手続きの主役はその人になります。
- 軽自動車:一時使用中止などの手続きは使用者が申請しますが、所有者が別の人なら、事前の同意が要ります。
なお2023年からの電子車検証は、所有者の氏名・住所が券面に印字されず、ICタグに入っています。車検証閲覧アプリか、交付のときに渡される「自動車検査証記録事項」の書面で確かめてください。この書面は、2027年12月末までは運輸支局の窓口で渡されます。
所有者と連絡を取るためにできること
販売店や信販会社が相手なら、会社の代表窓口に連絡します。個人が相手で連絡先が分からないときは、普通車なら運輸支局に「登録事項等証明書」を請求する方法があります。分かるのは登録上の所有者・使用者の氏名や住所などで、電話番号や、登録されていない今の住まいまでは分かりません。
請求には、次のものが必要です。
- ナンバープレートの文字と数字すべて
- 車台番号の下7桁
- 請求の理由(具体的に書く)
- 運転免許証などの本人確認書類
不当な目的に使われるおそれがあると判断されると、交付されません(国土交通省 自動車検査登録総合ポータルサイト)。
ただし、私有地に放置された車には例外があります。放置されている場所・見取り図・放置の期間・写真を示せば、登録番号だけで請求できるとされています。車台番号の全桁が分かる場合の請求方法もあります(関東運輸局)。
軽自動車は制度が違います。軽自動車検査協会の「検査記録事項等証明書」は、車検証に記録されている所有者が請求するもので、ほかの人が手続きするときは申請依頼書が要ります。連絡の取れない相手の情報を、第三者が調べる方法にはなりません。
手続きや相手方とのやり取りが難しいときは、行政書士(書類の作成と手続きの代行)や弁護士(所有権や相続の争いがあるとき)に相談するのが近道です。
ローンを払い終えていても、会社の承諾は必要?
車検証の所有者欄が販売店や信販会社なら、完済後も、その会社の承諾と指定された書類をそろえて進めます。
所有権留保とは、ローン会社や販売店が車の所有権を持っている状態のことです。所有権解除では、その会社の承諾を得て、指定された書類や精算の手続きを進めます。契約時の書類があれば、車検証と並べて会社名や契約内容を整理してから窓口へ連絡しましょう。
担当者に連絡がつくことと、手続きの書類がそろうことは別です。残債の精算後、解除書類が届くまでの期間は会社によって異なりますが、2週間ほどが目安です。販売店・信販会社によっては、納税を確かめるまでなど、何らかの理由で解除に応じないこともあります。
それでも所有者と連絡が取れないときは
自分の土地に置かれたままの車でも、原則として勝手に動かしたり処分したりはできません。進め方は次の順番です。
- まず警察に相談して、盗難車でないかを確かめてもらう
- 撤去や保管にかかった費用の請求も含めて、弁護士に進め方を相談する
- 市区町村の窓口で、自分の土地が放置自動車の条例の対象になるかを確かめる(市が管理する土地だけを対象にして、私有地を外している例もあります)
時間がたつほど、置かれている側の負担と手間が増えます。
所有者の名義のまま手放すときの進め方
所有者と連絡が取れたら、まず同意をもらいます。親族であっても、名義が違えば所有者の同意が要ります。売ることや廃車にすることを、所有者に承諾してもらうためです。何をどんな形で出すかは、普通車なら運輸支局、軽自動車なら軽自動車検査協会の、その手続きの案内で確かめてください。
そのうえで、手続きは普通車なら運輸支局、軽自動車なら軽自動車検査協会で行います。名義を変えるのか、一時的に使用を止めるのか、解体して抹消するのかで、申請する人も、出す書類も変わります。一覧をここに書くと外れるので、自分がどの手続きに当たるかを決めてから、それぞれの窓口の案内を見てください。
書類集めと窓口のやり取りをまとめて任せたいときは、行政書士に頼めます。普通車で代理を頼むときに使う委任状の書き方は、委任状の記事 にまとめています。
所有者の名義が確定したら、売るか廃車かを選べる
名義が確定すれば、売る・廃車にするのどちらも選べます。
仙台・宮城県北のクルマ買取センター ROOTS Plusでは、車検証の名義と手続きする人が一致している車をお受けしています。名義が他人のままの車は、お受けしていません。
たとえば、ごきょうだい名義の車を「売りたい」とご相談いただいても、所有者を示す書類がなければ、買い取る側はその車が誰のものかを判断できません。書類は、いわば車の身分証です。
それに、仮にお互いが納得して取引しても、そのあとの名義変更や抹消の手続きでは、公的な窓口に出す書類に、車検証の所有者本人が関わる必要があります。何が要るかは手続きと車種で変わりますが、たとえば名義変更なら次のとおりです。
- 普通車の名義変更:所有者本人の実印を押した譲渡証明書と、発行から3か月以内の印鑑登録証明書が必要です。車検証の氏名や住所が今と違う場合は、つながりを示す住民票なども要ります。
- 軽自動車:譲渡の手続きそのものは、普通車より簡単です。ただ、取引では持ち主であることを確かめる必要があるので、自動車検査証(車検証)や、使うのをやめている車なら自動車検査証返納証明書などがそろっているかを、先に確認しておきます。
そのため、所有者を書類で確かめられない車は、買い取りも引き取りもできないとご説明しています。
相続や亡くなった直後は、ばたばたすることが多いため、時間をおいてご相談いただくことが多いです。ご健在のうちで、クルマを使わない場合には、早めに現金にかえられるのが良いかと思います。
なぜなら、亡くなられたあとは、売ったり廃車にしたりする前に相続の手続きが必要になるからです。
たとえば普通車を相続人の1人が引き継ぐ場合、亡くなった事実と相続人全員を確かめる戸籍謄本(または法定相続情報証明書)、相続人全員が実印を押した遺産分割協議書(車の価格が100万円以下なら遺産分割協議成立申立書)、引き継ぐ方の印鑑証明書などがそろって、はじめて名義を移せます(国土交通省 関東運輸局「単独相続」)。手順は相続の記事にまとめています。
名義が一致している車なら、最低買取保証があります。
他社で買取ができなかった車や、年式が古い車、廃車を考えるような車でも、排気量ごとに最低買取保証額がついています。「最低」なので、同額かそれ以上が確定するという意味です。
- 軽自動車(たとえばワゴンR、タント、パレットなど)・1500cc未満 …… 4万円
- 1500cc以上 2000cc未満 …… 6万円
- 2000cc以上 2500cc未満 …… 8万円
- 2500cc以上 …… 10万円
車台番号が確認でき、車体や主な部品が大きく欠けていなければ、原則として対象になります。適用の条件は車の状態で変わるので、実際の金額は査定で確かめてください。
提示額は手元に残る金額で、後出しで差し引くことはありません。段ごとの金額は買取保証の表にあります。
所有者と連絡が取れない車、どうする?選択肢を並べる
| 選択肢 | 向いている人 | 先に知っておくこと |
|---|---|---|
| 販売店・信販会社に連絡する | 所有者欄が会社の人 | 担当者が辞めていても、会社の窓口は残っている |
| 登録事項等証明書を請求する(普通車) | 個人名義で連絡先が分からない人 | ナンバー全部と車台番号下7桁、請求の理由、本人確認書類。私有地の放置車両は、場所・見取り図・期間・写真があれば登録番号だけでも可。軽は所有者本人の請求が基本 |
| 行政書士に相談する | 書類をそろえたい人 | 手続きの代行が中心。争いがあるときは弁護士へ |
| 弁護士・警察に相談する | 放置車両を撤去したい人 | 勝手な撤去は自力救済(裁判などの手続きを通さず、自分で取り戻したり撤去したりすること)で違法になりうる。費用の請求もあわせて相談 |
| 名義が確定してから売る・廃車にする | 書類がそろった人 | ROOTS Plusもその1つ。名義が一致していることが前提 |
所有者と連絡が取れない車でよくある質問
所有者と連絡が取れない車を、自分の判断で解体してもいいですか?
できません。他人の物を壊すと器物損壊に当たるおそれがあり、手続きにも所有者の承諾が要ります。必要な書類は車種と手続きによって違います。
ナンバーから持ち主を調べられますか?
普通車は運輸支局に登録事項等証明書を請求できます。ナンバーの文字と数字すべて、車台番号の下7桁、請求の理由、本人確認書類が必要で、私有地に放置された車は、場所・見取り図・期間・写真があれば登録番号だけで請求できます。軽自動車は所有者本人の請求が基本です。
放置された車の税金は誰に来ますか?
4月1日時点の所有者に課され、抹消した月までの月割に減ります。ローンで所有権が売主にある車は、使用者である買主が納めます(宮城県)。軽自動車税は、年度の途中で廃車にしても月割の還付がありません。
所有者が亡くなっている場合はどうなりますか?
相続人を確定し、名義を確定させてから手続きします。相続や亡くなった直後は、ばたばたすることが多いため、時間をおいてご相談いただくことが多いです。車を使わないなら、ご健在のうちに現金にかえておくと、戸籍謄本や遺産分割協議書をそろえる相続の手続きを待たずに済みます。手順は 相続の記事 にまとめています。
所有者と連絡が取れない車は「車検証の名前」から順に動かす
勝手に処分すると、器物損壊や費用の負担が自分に返ってきます。車検証の所有者欄を見て、会社なら窓口へ、個人なら専門家へ(普通車なら登録事項等証明書の請求も検討してください)、故人なら相続人の確定へ。名義が確定すれば、売るか廃車にするかを選べます。放置している間も税金は止まらないので、今日の1本の電話から動かしてください。
書類がそろう見込みが立ったら、公式LINEから車の写真と、車検証や書類の写真をお送りください。クルマ買取センター ROOTS Plusでも、書類まで写真でいただいて、はじめて正式な価格を確かめられます。受付は24時間です。送ると、まず最低買取保証額がすぐに届きます。同時にROOTS Plusにも写真が届くので、すぐに査定に入ります。そのうえで、人が確認した正式なオンライン査定価格をお届けします。しつこい営業はありません。正直に成り立つ取引なので、写真の加工や、傷やへこみを隠すことはなさらないようお願いします。→ 無料で今すぐ買取価格を知りたい
出典:軽自動車検査協会「自動車検査証返納後の所有者変更記録申請」(自動車検査証返納証明書)/国土交通省「車を売買等により名義変更するために必要な書類」(旧所有者の譲渡証明書・印鑑登録証明書)/国土交通省 自動車検査登録総合ポータルサイト「登録事項等証明書の交付請求」/関東運輸局「登録事項等証明書交付請求」(放置車両は場所・見取り図・期間・写真で登録番号のみ可)/軽自動車検査協会「検査記録事項等証明書」(所有者の請求・代理は申請依頼書)/国土交通省「電子車検証について」(所有者の氏名・住所は券面に非表示・閲覧アプリや自動車検査証記録事項で確認)/宮城県「自動車税」(4月1日時点の所有者・所有権留保は使用者が納税・抹消月までの月割)/東北運輸局「一時抹消登録・永久抹消登録」の手続き案内/軽自動車検査協会「自動車検査証返納届・解体返納」の手続き案内/e-Gov法令検索:民法第176条(物権の移転は意思表示で効力を生ずる)・道路運送車両法第5条(登録は第三者への対抗要件)・自動車登録令第11条(相続・判決による登録などは単独で申請できる)・刑法第261条(器物損壊)。買取の条件はクルマ買取センター ROOTS Plusの適用条件に基づく(2026年9月時点)。最終更新:2026年9月22日
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